認知症ってなに?

認知症(痴呆症)とは、脳の神経組織が破壊され、記憶力や知的能力が低下した状態をいいます。
主な症状としては、記憶障害、見当識障害、計算力の低下、理解力・判断力の低下などです。
認知症のお年寄りは、症状が進むにつれて1人で日常生活を送れない場合もあり、ご家族をはじめ、まわりの人のあたたかい介護が必要となってきます。

 

痴呆(認知症)の種類

老年期の痴呆の原因となる病気にはいろいろありますが、日本では脳の血管障害による脳血管性痴呆が一番多く、次いで脳の神経細胞の変化によるアルツハイマー型痴呆が多くみられます。また、最近ではアルツハイマー型も多くなっています。
認知症のタイプには、以下のものがあります。

(1)脳血管性痴呆
脳血管の動脈硬化が進み、脳の血液循環の障害が進行して脳の組織の一部に血液が流れなくなり、その結果、脳の機能が低下して痴呆をきたします。初期の症状として、物忘れ、意欲減退、うつ状態、頭痛、頭重、めまい、しびれなどがみられます。日や時間によって症状に変化がみられたりします。症状は、多くの場合段階的に進み、睡眠障害、夜間せん妄、失禁、感情失禁、もの盗られ妄想などの症状を伴うことがあります。身体の病気が合併することもあり、足腰も弱るため骨折や転倒の危険もよくみられます。

 

(2)アルツハイマー型痴呆
大脳皮質の神経細胞が変性して脳が萎縮し痴呆をきたします。記憶障害や見当識障害が徐々に進んで、全精神機能が低下する全般性の痴呆となっていきます。徘徊や衣服の着まちがい、便をロにいれるなどの不潔行為などがよくみられます。

 

(3)仮性痴呆
うつ病に伴って痴呆様の症状を示すことがあります。この症状は、一見痴呆のように見えますが、うつ症状が改善するとともに自然に消えていきます。

 

痴呆(認知症)の症状

痴呆(認知症)の主な症状は以下のとおりです。

(1)記銘力障害
物忘れがひどくなり、何度も同じことを尋ねるようになります。初期には新しいことを憶えることができなくなりますが、昔のことは比較的よく憶えています。病気が進むと次第に昔の記憶も失っていきます。

 

(2)見当識障害
今日は何月何日か、今は何時頃か、自分は何処にいるのかわからなくなります。

 

(3)理解力・判断力の低下
複雑なことを考える能力や理解する力が障害されます。病気が進むと簡単な会話の理解も困難になります。

 

(4)意欲や関心の低下
いろいろなことに関する興味や関心が低下し、何もしないでぼんやりと過ごすことが多くなります。

 

(5)計算力の低下
釣り銭の計算やお金の管理が困難になります。

 

(6)感情の障害
喜怒哀楽がなくなり、反対に少しのことで怒ったり、泣いたりするようになります。

 

(7)失語、失行、失認
痴呆が中等度まで進むと、言葉を理解できなくなったり、話すことが難しくなります(失語)。また、目的にあった動作ができなくなります。例えば、服の着脱が困難になったり、トイレにうまく座れなくなったりします(失行)。また、物の識別ができなくなったりもします(失認)。

その他さまざまな精神症状や異常行動がみられ、幻覚、妄想、せん妄、興奮、暴力、睡眠障害、失禁、不潔行為などがみられます。

認知症になったら

認知症の原因や状態によっては、適切な診断・治療によって症状が改善するものもあります。認知症の初期には症状が目立たないこともありますが、いつもと様子が違う時には早めに精神科等の病院を受診することをお勧めします。できるだけ早期発見し適切な対応をすることが、お年寄りの状態の安定と、家族の負担を軽減することにつながります。